2014-01-01から1年間の記事一覧

お知らせ

始まったばかりのこのブログですが表記が見づらいため、はてなダイアリーへ移転します。そのうちここの記事も移して(もしかすると修正を加えて)いくつもりですのであしからず。アカウントは変わらず "suzuyosi106"です。もし興味がおありでしたらどうぞよろ…

夏〈2〉

どこに?どこにってそりゃあ外だよ、外ー!とさぞ当たり前のように元気よく答える彼。電話のむこうで尻尾でもふっているんじゃあないかな、ご機嫌よろしいね、結構なことだよと頷きながらもう一度話を返す。うん外ね、それはわかるんだけどね、外ってほら色…

夏〈1〉

見えたかい。いいえ、まだ。日光が反射し、透け、青々と輝く木々。ジリジリと焼ける地面、土、たまにコンクリートのかけら。今日は土曜日、天気のいい休みの日には寝てる以外の時間を持たなきゃね、と比較的活発な彼は朝から電話をよこして、私を連れ出そう…

糸とハサミと消えた猫

案外また始まるのね。終わったものと思っていたけど、そう簡単にどの糸も切れない。一度つながって切れた糸もゆるく細く繋がっていたりする。ただ、その細い繋がり方はきっと複雑で、プツンと切れちゃいそうなのに、なかなか絡まっているものだから、解すの…

焦がしたのは私

大丈夫なわけないじゃない。そんな風に言われて。大丈夫なわけない。相手に悪気がない?そんなのねえ、あなたが大丈夫かどうかには全然関係ないのよ。彼女が言った。ここは薄暗く影の濃い部屋で、一つだけある暖炉はオレンジ色の火を燃やして私たちの影を揺…

善良と醜悪

山の中で私は腐った。何も見ずに殻の中で腐った。それはぬるく、心地悪い温度が感覚を狂わせていることに気づかずにそのまま育てる。それは親のような愛には耐えられない。貪欲で、また喰らい尽くしてしまうからだ。いくら食べても足りないよ、もっとおくれ…

大人

大人とはどこにいますか。あなたの言うような大人は、どういうものですか。それは被る皮のようなもの?それとも気づかないうちに固めた身体にまとわりついた石を抱えて歩く人のこと?違う違う、それは与える人のことだよ。何をいっているの、受け取れる人の…

遠くの眼鏡

ボヤけている。あんなにクリアだったのに、腫れた瞼と乾いた空気で曇った眼鏡をかけているようだ。曇りはうまく拭えず、眼鏡は薄い膜になる。一日ごとに薄い膜を一枚重ねて、靄が濃くなっていく。膜の薄いところしか今はもう見えない。見えないものはいつか…

知らないでいて

「私なんかは大した人間では無いですよ。」とゆるりと言った彼女は、理解できない人、理解できないことに対して話すとき、見えない眉間にシワがよる。絶対認めない、絶対許さない。嫌悪。そんな感情をこめて、いかに彼らが正しくないかを話す。「私以外はみ…

心を奪われる

悲しかったんだ。ポツリと溢す。今思えば。今思えば、ああもうあなたには付き合っていられない、と放り投げて、そのくせ笑顔で何もなかったようにコンニチハ、なんて挨拶してきたことに、怒ることさえ出来なくなった僕は、やっぱり悲しかったんだと思う。僕…

3時間

エクレアが、冷蔵庫に入っているおとといもらったエクレアが食べたいと思って、はや3時間たつ。実際時間なんて見ていないので、本当は5時間かもしれないし40分くらいのことかもしれない。この3時間があったらどれだけ生産的なことができたかな、と考える。考…

5.5畳の空間

狭い何が狭いかって今住んでる部屋が狭い5.5畳。まあ程々かしら。しかし趣味のせいかなんなのか、物が多いために狭い。本、服、楽器、テーブル、ふとんテレビ、DVD、CD、雑誌、画材もらいものの人形、食料 etc...物が多いのに収納がない。そしてワンルームな…