糸とハサミと消えた猫

案外また始まるのね。終わったものと思っていたけど、そう簡単にどの糸も切れない。一度つながって切れた糸もゆるく細く繋がっていたりする。
ただ、その細い繋がり方はきっと複雑で、プツンと切れちゃいそうなのに、なかなか絡まっているものだから、解すのが面倒になって、もう触りたくもない時はハサミでちょきんと切ってしまったこともある。まあ、それはそれで良かったと思っている。考えんのやめるとさ、楽になんだよいつかは。もちろん切ってすぐも、すごく爽快でさ、いい気持ちだけど、なんだかその糸の亡骸見てたら泣いちゃう日もあってね。難しいところ。

ところで、君は猫を被ったことはあるかい。飼いならした猫を好きなように被って上手くやっている、と思っていたら全然飼いならしてなどなく、猫が勝手に野生に帰って行くこともあるのにね。そうまでしてなんで猫を被るかっていうとさ、実は愛なんじゃないかって。最近そう思うんだ。まあ被ってなくても君のことは、好きだよ。どう、猫被ってると思う。僕。